なんか……違う(CFLグローバルコンバインドの話)

いざCFLへ 6人の日本人選手がグローバルドラフトで指名される(X League公式)

別ルールではあるんだけど似た競技として世界第2位の事業規模を誇るカナディアンフットボール・リーグの国際ドラフトに、日本人選手が6名も指名されたという話です。CFLからNFLに登録される選手も、その逆もあり、そういう視点から見て「NFLへの入り口」の一つであるともいえます。
その「国際化枠」に日本人が6人も指名されたという事は、日本のトップクラスの選手がいかに優れているかを示した、とも言えます。

が……

ファン界隈の今のノリに、個人的には違和感しか感じていませんです。

そもそも、他のプロスポーツ(国際的なプロリーグ)に於いて、おそらく唯一言ってもいい「下部組織を持たない」競技であるアメフト系は、契約の在り方が「何らかの形でシーズン中の所属を確約した」ものではない、という事が一番大きいわけです。
つまり「開幕ロースターに入っていて初めてスタートライン」かつ「シーズン中カットされずにきちんと北米大陸の選手と同等の活躍が出来た」ら評価されるべきなのであって、現状「まだ始まっちゃいねえよ」という状態なわけです。

よく「日本人がNFLでプレーできていない」という事を色々と取り上げている人たちがいますが、そもそもにおいて「トップリーグとの当落線上にぽつぽつと送り込んだ」NBAとNHL、当落線上に多数送り込みつつトップで活躍する選手もいるMLBと欧州サッカーは、そもそもその「選手を受け入れる容量」が大きいという特性があるわけです。いや、基本そういうものです。
それに対してアメフト系は「基本、NFlトップリーグの寡占」であり同時に「下部リーグに対してNFLが非常に冷淡であった」という歴史がある訳です。そりゃNBAやNHLのように週に2~3試合を、キャパ二万人規模で半年廻すところに比較して、下部組織を持っている財政的な理由がないし、選手寿命も短い(恐らく世界で唯一「北米の大学で複数年プレーしていないと採用されない」競技団体である為、自チームが是若年層の底上げをする必要がない)し、何より練習生契約入れて60人未満×32チームの枠を毎年数千人単位でトコロテンのように押し出される新人と、10年近く挑み続ける先輩諸氏という群雄割拠の中で、「シーズン通してプレーできる状態で常に飛んでいける場所にいる」事が日本人選手に出来るかの、という問題をまずことさら無視しているのがおかしな話な訳で。

だってよくあるじゃないですか。「高校の先生として就職して一ヶ月程度の時に怪我人の代わりにと呼ばれて契約した」とか。
それすなわち「常にNFLでプレーできる状態を維持している」ことと「常にエージェントが働きかけている」事なんですよ・それが出来て初めて群雄割拠の中に割り込めるのであって、今の「半分アマチュアとして(実質プロ契約な選手もいますけど)ダメだったときの居場所が確保されている」環境で挑戦している状況は全然全く意識低い系だと思いますよ。

まあ、一歩譲ってそこはいいとしましょう。

でも呆れてしまったのが「今アメフトを普及する為にCFLを盛り上げましょう」とか言う意見。

馬鹿ちゃいます?

正直言ってしまえば、「オージーボールのプロ契約取れました。ラグビー人気獲得のためにオージーボール盛り上げましょう」って言ったのと同じ。それ、おかしいでしょ理屈が。

国外トップリーグにスター選手が契約した事例でいうと、サッカーの奥寺がブンデス行った時なんだけど、それで国内のサッカーかが一般に浸透したかと言うと全くそんな事は無くて、JSLはピークを過ぎた釜本頼みのまま八〇年代まで(奥寺が帰国しても暫くは釜本依存)だらだらやってきた訳で。その裏でプロ化が地道に計画されていたのだが、サッカー人気はどっちかというとこの裏側で地道に活動していた、日本協会の垂直統合による強固な意志に基づいた計画に依存している訳で。
じゃあアメフトは、っていうと、もう全く話にならない。いや、日本のアメフトは垂直統合でも水平統合でもないので、「全体を俯瞰して必要な事にコストを集中させる」意識が上手く廻ってないのね。
典型例が関学による「反ライスボウルキャンペーン」。あれ、あんなにマスコミ焚きつけてやった結果、一般に悪印象しか残さなかったし、いやさはっきり言って関西学生の特定チーム以外に何の利益もなく、もっと言えばごく限られた大学トップチーム以外には悪い方向にしか向いてないんだよね。

そんな中でCFLを盛り上げて、アメフトという競技が日本に認知されるか? 
んな訳ねーじゃん
という話です、はい。

※というより、日本の大学卒業して即コンバインド引っかかるようでないとダメだと思うの。

日本人QBの社会人での取り扱いと日本代表の育成

実はこれ、二月頃にFBで触れたところ、フルボッコにされてしまった話なんですわ。

元は関学の奥野君が就職を決める際に、監督から「いまの社会人は外国人QBばかりだから、それに勝つために仕事と向き合いながら競技生活を送るのは無理があるから、仕事一本に専念した方がいい」(内容は不正確ですが)というアドバイスを受けた、という話から始まっています。同様に日大の林君も「競技継続は前提としていない就職(就職先は社会人チームを持っているとか)」という事だった訳です。

現状、確かにX1Superでは外国人QBがスタートを取っているチームが八チーム中5チーム。のこりのうちIBMは負傷交代で実際にはケビン・クラフトが先発していた訳だし、東京ガスは契約した外国人QBがコロナの影響で来日出来なかったという事が響いている訳ですから、実態としては8チーム中7チームが外国人QBを擁している訳です。X1Ariaでもアサヒビールとアサヒ飲料が外国人QBのスタートです。

しかも、その殆どが「契約が切れた外国人QBの後釜は外国人QBを探してくる」パターンになっています。平たく言うと「自前で日本人を成長させるより安直に勝利に結びつく」と編成部が考えているという事に繋がります。
前段で触れたように、大卒選手の社会人での選手寿命はせいぜい5年、長くて8年です。恐らく社会人になって3年目からスタートに定着して三年間はチームの攻撃の中核になる、という計算があって初めてプレーする気になるでしょうけど、そうでなかったら「相当逡巡する」筈なんですよ。

そういうとし「じゃあ富士通の高木とかIBMの政本はどうなるんだ」って話になるんです。多くの人が彼らを論拠にしました。
でもね。高木が社会人1年目(オービック所属)の時は、入部時にはQBは日本人だけ(ただし高木は三番手)。しかも菅原があと数年すれば後進に道を譲る価格率も高かった訳ですよ。
ところが翌年には外国人QBの参加を決めている訳で、同じ外国人でも得るものが多く、二番手のQBが怪我がちだった富士通に移籍するという選択肢になった訳です。※もし先発を希望するなら東京ガスでもライズでも良かった訳ですから。
政本にしてもクラフトからの禅譲は既定路線だった訳です(もしチーム以前のように独立採算に移行しなかったら、後継外国人QBという話も出た可能性がある)。
つまり、彼らは結構な「例外」であると思う訳です。恐らく現在の外国人QBハッピーな環境で進路を決めるときには、今ほど強い意志で社会人を選択したかというと、微妙だと思う訳です。

実際問題として、現時点で学生トップリーグのQBは、Xリーグにほぼ参加して来ていません。つまり「アメフトをするための就職」はほぼ選択肢外になっているという事です。
※ただし数年したから復帰するケースがないわけでもないが、それを期待するのは無理がある。

つまり、この問題は「政本がー」「高木がー」以前に、「チームも選手もそこに力点を置いて継続して活動できる環境を模索していかない限り、日本代表として国際試合に挑む事が出来なくなる」危険を孕んでいるという事なんです。
「日本代表なんて飾りですよ。偉い人はそこが解ってないんですよ」って言い張るなら別ですが、この国のスポーツナショナリズムの取り巻く環境は「個別のチーム」ではなく「ナショナルチーム」にステータスがある訳で、世間への認知を深めるためには絶対にナショナルチームを念頭に置かねばならないのです。

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2021年春シーズン

チーム名の変更
 LIXILディアーズ→ディアーズフットボールチーム(スポンサー契約満了)
 富士ゼロックスミネルヴァAFC→富士フイルムミネルヴァAFC(スポンサー企業名変更による)

春期辞退
 ペンタオーシャンパイレーツ
 (アサヒ飲料チャレンジャーズ)

月日 曜日 会場 時間 対戦チーム
5月16日 富士通ST川崎 11:00 電通×富士フイルム
14:00 アサヒビール×ディアーズ
17:00 .ブルザイズ東京×警視庁
5月22日 富士通ST川崎 14:00 富士通×東京ガス
5月23日 富士通ST川崎 14:00 オービック×ノジマ相模原
17:00 IBM×オール三菱
6月5日 富士通ST川崎 14:00 富士通×オール三菱
17:00 警視庁×BULLS
6月6日 富士通ST川崎 14:00 オービック×IBM
17:00 東京ガス×ノジマ相模原
6月13日 富士通ST川崎 11:00 アサヒビール×電通
14:00 ディアーズ×富士フイルム
6月19日 富士通ST川崎 13:30 ブルザイズ東京×BULLS

ちなみに東西学生は無観客で開催。開始時刻・会場非公開です。 

社会的な競技者寿命という事について

これは近々書くであろう「日本人QBの社会人での取り扱い」に関する話の前段です。

競技者寿命とは「プレーヤーとして活動を初めて、運営や指導に関与してリタイアする迄」の事を意味します。
この人口ピラミッドは年齢別競技人口に比例します。つまりプレーヤー引退と供にそこから先に関わるケースは極端に先細りする傾向にあります。というのも「指導者や裏方は、指導される人やサポートされる人の総数によって上限が決まる」為、前任者が隠居しない限りその席が廻ってこないからです。

結果論ですが、そういう環境で競技団体の上層部に至る人の大半は「途中個人が私財を持ち出し」する事から、後に会計の不正に繋がる(かつて作家の大坪砂男が、探偵作家クラブの資金使い込みをした時のいいわけ「私がこんなに苦労したんだから、これくらいは貰ってもいいじゃないですか」と言ったのと同じ理屈)のですが、それと同じくらい政治的思想的なバトルを経験しているので、彼らが彼らの大半が社会生活を引退した世代になるのは仕方がない事になります。
※私財を投入する為の収入が減るわけですから、補填しようとするのは当然の行動原理です。倫理観として正しいかどうかは別の話。

すなわち、アメフトの場合、競技者寿命はとても短い競技であるという事が出来ます。
まず小学生のリーグはチェスナットしかない=関西限定。
中学もごく少数しかチームがないので指導者の需要がない。
高校もチーム数が少ない上に地域が偏重しているので指導者の需要がない。
さらにやっかいなのは、中学高校と「指導者として教員である事」が求められ、知識がない上にコンタクトスポーツとしての安全性配慮にからんで引き受け手がない。※公立は定期異動があるので、経験者が必ず指導できるという訳ではない。

では一般的な競技スポーツの競技者寿命の社会的通念はどれくらいまでなのか。

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ライスボウル見直しの概要が決定した件

「アメリカンフットボール日本選手権」対戦見直しのお知らせ(日本協会公式)

【アメフト】ライスボウル見直し決定、学生代表は出場せず、社会人による日本選手権として存続(ベースボールマガジン社)

まあそこしか落としどこをろがない訳で。

だったらライスボウル開催前に発表出来ただろうに、どうせ出来レースだつったんだから。

ちなみにリーグ戦開幕が現状通り8月最終土曜日に設定され、隔週開催で実施するとなると、以下のように想像できます。

月日(土曜日) 8チーム 10チーム 12チーム
インターブロック
8/28 1 1
9/11 1 2 2
9/25 2 3 3
10/9 3 4 4
10/23 4 5 5
11/6 5 6 Int1
11/20 6 7 Int2
12/4 7 8 Int3
12/18 PO/入替戦 9 PO/入替戦
1/3(月) Rice Rice Rice
1/8 入替戦  

今年度の場合、入れ替え戦がないのでチーム数は8チームですが、少なくとも1節分の余裕があるので、単純に1節繰り下げるか、試合数を増やすことに費やすかのどちらかになる筈です。
そこで考えられるのがX1増チーム案で、X1Ariaから偶数チームを吸い上げる形で開催するというもの。
プランとしては「総当たりの為、日程上の都合で2チーム増、プレーオフはなく1位2位の対決がRice」と、「2ブロックに分けて、ブロック内総当たりと他ブロック3チームとの試合、ブロック上位2チームのたすき掛けプレーオフ」があり得るでしょう。

8チーム 10チーム 12チーム
奇数 偶数
オービック オービック オービック 富士通
富士通 富士通 パナソニック エレコム神戸
パナソニック パナソニック ノジマ相模原 東京ガス
エレコム神戸 エレコム神戸 IBM オール三菱
ノジマ相模原 ノジマ相模原 LIXIL アサヒ飲料
東京ガス 東京ガス みらいふ福岡 アサヒビール
IBM IBM    
オール三菱 オール三菱    
  アサヒビール    
  アサヒ飲料    

※以下昇格については、2019年X1Ariaの順列上位を適応。また12チームの場合東西均等を前提に調整。
 ま、こんなところが妄想できる訳ですが、来春の活動がどうなるか+オリパラでうしろだおしがはっせいするか、で話が違ってくる訳ですよ。
昇格が発生するとX1Ariaをどうするか(個人的には10チームの場合は西はX2から昇格、東は2ブロックではなく1ブロックにしてチーム減、12チームの場合は両地区ともX2再整備で対処)とか課題はありますがね。

ライスボウル改革に関して(6・終)

まず以下に展開される発言は
「ライスボウルは現行のままであるべきだ」ではなく
「今回の決定とそれを歓迎する思考プロセスがクソである」
ということを言いたいのであって、結論が「社会人対学生でなくなる」であってもその本質が「天と地ほど違う」事を理解してお読み戴きたい。

今回の議論はつまり

  1. ライスボウルとは1月3日に開催される日本協会主催のボウルゲームという「主催者がチームを招待して行うイベント」である。
  2. このボウルゲームは、たまたま国内成年男子のトップカテゴリであった「学生」と「社会人」の「それぞれが認定する年間王者」を招待するエクストラゲーム(平たく言って「おまけ」扱い)である。
  3. 年間王者同士の戦いだから「日本選手権」だよね、と安易に冠を付けた。
  4. この結果、社会人は「トーナメントの最終通達点」としてライスボウルを設定しているけれど、特に関西学生は「甲子園が最終目標で、ライスは社会人に付き合ったオマケみたいなもの。無くても関係ない」というスタンスをテコでも変えなかった。
  5. 学生側では未だに「日本選手権」という形式に統一して望めていない(関西とその他で温度差が鮮明である)。同様に「普及」に対する考え方も(関西とそれ以外で顕著に)違いがあり統一感がない。

という実に不幸な前提のまま2.だけをいじろうとしているからなんとも据わりが悪い話になっている。この場合3.の明確な再定義が発生しない限りいつまでたっても国内に於けるアメフトの認知は広がらないだろうし、逆に衰退する方向に流れるだろうと思う。

従って単純に社会人の決勝を1月3日に「ライスボウル」としてやることは出来ない(単純に社会人の決勝は社会人協会の主催試合だからである。ラグビーの場合は大原則として「社学対戦」を実施する中で「日本代表強化の為のスケジュール調整の都合上」シーズンの前後スライドが起き、双方同意の上で「日本選手権」への学生の出場を中断している。よって新リーグ移行後はどうなるかは不明だが、トップリーグと日本選手権(=社会人プレーオフ)は主催が異なるし試合数がアメフトとは違い過ぎる)。

もしラグビーと同じようにするなら

  • X1リーグは12~16チームで、シーズン8試合/チーム以上の対戦が必要である。(試合間隔が今の隔週を維持出来ると思うなという話になる)
  • 社会人王座はリーグ戦1位である。
  • リーグ戦終了後に上位半数によるトーナメントを「日本選手権」として日本協会主催・社会人協会主管で実施する。
  • オープン参加枠は設けるが、日本協会参加のリーグ戦運営競技団体が推挙したチームによる予選トーナメント2試合以上を勝ち抜いたチーム最大2チームのみに与えられる(ちなみに推挙条件は「当該リーグ優勝チーム」に限定し、予選本戦期間内に他の試合への出場は認めない)。
  • 日本選手権の決勝を「ライスボウル」に招待する。

という運営で、学生側の制限である「期末試験期間」には一切配慮しないし、また学齢にも配慮しない(通常期末考査終了で学齢は1上がる。つまり4回生は5回生となり原則出場できなくなる。春の甲子園などに準拠)前提で活動することになる。
重要なのは「このスケジュールをこなすには、予備日程を入れても3週2試合以上の(日本においては)ハイペース」で実施する事と、「雪が降ろうが超低温だろうがアメリカNFLプレーオフなみに過酷な環境でも」試合する事になる。
また、この為にはチームスポンサーが資金潤沢(ぶっちゃけJ1資金下位と同等の年間予算をキープ出来る事-だいたい3~5億/年くらい-)である事と、社会人学生供に試合出場登録メンバーを国際試合と同数(42~45、スタッフもコーチ+フィールドスタッフ20以内うち医療・トレーナー専門で3名以上必須)にしないといけない、等現行より不利になる事を受け入れないといけないのである。

だが、残念な事にこんな踏み込んだ改革は出来ないだろう。それは時間が少なすぎるからだ。そんな結論が出るなら、もっと時間がかかっていて不思議はないし、そういうリークだって見えている筈だ。
でもそれは期待しない。出来る筈がないからだ。

なので、この議論がもっと向上心のあるもので進んで欲しかった事を強く念じてこの項を閉じたいと思う。

ライスボウル改革に関して(5)

まず以下に展開される発言は
「ライスボウルは現行のままであるべきだ」ではなく
「今回の決定とそれを歓迎する思考プロセスがクソである」
ということを言いたいのであって、結論が「社会人対学生でなくなる」であってもその本質が「天と地ほど違う」事を理解してお読み戴きたい。

さらに宜しくない老害ファンの言動について触れておく。
おおよそにおいて彼らの脳内は「ライスボウル開始以前」あるいは「東京ドーム開催以前」で思考停止しているので、現代において全く意味を持たず、はっきりいって「競技人気が衰退しているのに、提示される意見が30年前への回帰」というのは、どうしたものかというより「お前らがポックリ逝った後どれだけ新しくファンが流入してくるんだよ」という疑問しか湧いて出ないのである。

90年代を転換期として「サークルイベントとして定番のスポーツ観戦」「ゼミでのイベントとしての定番のスポーツ観戦」というブナかは途絶えて久しい。実は六大学野球なんかはもっと早い段階で人気が衰えたが、かのラグビー対抗戦の早明戦も、90年代後半からガクンと人気が落ちた。
一つには「個の時代」の蔓延(集団行動を忌避する流れ)がこの頃から発生しだした事、就活においての楯の繋がりが無くなってきた事(前半はバブル期における「就労形態の多様性」、後半はバブル崩壊による就労支援削減。さらにITバブルによるベンチャーブームが拍車をかけている)など、対人関係の変化と狭小化が発生している事。
そしてもう一つは「1つのブームは10年を超えられない」という現実である。つまり「10年前に始まったブームはその世代のもの、10年後にブームを担った世代が卒業した後、新しい世代は前の世代の価値観を否定して新しい価値観に乗り換える」という価値観の変容プロセスそのものである。
よく考えてみて欲しい。16歳高校1年生のころに流行ったものに対して10年後26歳になってまで興味を維持出来るだろか?ミドルティーンが結婚適齢期むになるんだぜ。当然卒業しちゃうでしょ。
じゃあ自分たちが16歳の頃、26歳の人たちが熱狂していたものに夢中になれただろうか? かなりの割合で「古くさい」という事で忌避してきただろう。

その事を踏まえて考えて見て欲しい。

  • かつてのように東西オールスターにすればいい
  • 社会人なんて企業に特化して強化しているセミプロ・ノンプロなんだから
  • もともと社会人が強化すれば学生が勝てなくなるのはわかりきっていたんだからやらないのが正解だった

2つ目なんていつの話だっつうの。実業団スポーツそのものに「新規参入」する企業なんて限られている。現時点で一番多いのは「企業チームが撤退するのに伴いチームを引き受ける」であって、それも結構「地元に還元したい」という意識のもので、ゼロから立ち上げるケースは皆無。現状社会人チームに多いのは「クラブチームとして選手スタッフが集まり、そこに企業がスポンサーとして支援する」ケースで、この場合選手がチームorスポンサーとプロ契約するか契約社員として登録するパターンだ。つまりいつでも撤退できる体制って事(この間のDeNA陸上部がこの典型例。東京五輪までスポンサーになったが駅伝で思った効果が出ずに個人競技に切り替えた挙げ句2020年で完了。このパターンが多い)。またクラブチーム化しても元企業がスポンサーに廻らないが為に行き詰まるケース(パナソニックのバスケ部はBリーグ化せずスポンサーにもならず、で解散)というご姿勢である。社会人アメフトでも「シフトの融通」はあっても「勤務時間内の練習」なんて今はないし、それなりの選手は引退後同期との出世格差に悩んで退社すると聞いている。それを、一体いつの話してるんだか馬鹿じゃない?
3つ目も馬鹿な話で、というのも「統一団体がない」「ルールが統一されていない」「全国大会が存在しない」スポーツなんて、その当時からアメフトくらいだったし、その状態で助成金が出るとは思えないし、もっと言えば「アメリカン・カジュアル」の一端としてブームになっただけの競技の人気が維持出来ると思っているのだろうか?
プロセス上必要な大会である事、プロセス上この結果になるのは当然の帰結である事、そして「思った以上に社会人のチームが地域的に広がってなかった事(故に福岡サンズは維持しなくてはいけない団体である)」計算外を含めても、日本のアメフトの発展には欠かせない存在だったのである。

さらに呆れるのが「東西学生オールスターとして昔の形式に戻す」である。
カレッジボウル終盤を思い出して欲しい。
オールスターの場合、出場選手に怪我をさせてはいけないという前提から花相撲的な扱いになる。結果「ファンが喜ぶ組合わせ」は出来ても「一見さんが見てのめり込むきっかけ」にはならないのである。
これはJリーグのオールスター戦が無くなった事、プロ野球の交流戦が始まってからオールスターの人気が激減したこと、NFLのプロボウルが廃止議論にずっと晒されている事など、複数の事例が存在している。
平たく言ってしまえば「クリープを入れない珈琲みたいなもの、誰が見たいか」なのである。
ファンが想像するファンのためのイベントってのは、大抵ファンだけがはしゃぐのよ。それを見て外野は辟易して遠巻きにして近寄らなくなるのよ。

再三方々で取り上げているけど、確かガンダム25周年の時かな? BS1で劇場版一挙放送した時に富野監督のインタビューがあって、あの人は貪欲だから「アニメ映画でブームを起こすことが最終目的」と言った際だ。NHKの高山アナが「え、でもガンダムでもの凄いブームになったじゃないですか」と返した時の富野監督の言葉が忘れられない。
呆れたように「ふっ」と笑って「だから、あれはファンが騒いだだけなの」「見てごらんよ『マトリックス』を。一般のなんでもない人たちがみんな見にいくじゃない。ああいうのがブームっていうの」
他の所で富野監督は「ファンが騒いでいるだけではいずれ衰退する」と言っている(オタク批判として)。
それと掛け合わせたらわかりそうなものだろう。オールスターに普及活動への未来がない、という事を。

もし新しいファンを獲得してなら、自分たちの好きな物が認められたいと願うなら、インサイドに向いた思想ではダメなのだ。いやもっと言うと「内側の人の都合の良い想像で描き出した妄想上の外部の人」を相手にしてはいけないのである。

そこがダメダメな議論となっている事に気付かないのである(そりゃSNSで100くいいねは付くだろうけど、所詮その程度で終わる話だ)。む

ライスボウル改革に関して(4)

まず以下に展開される発言は
「ライスボウルは現行のままであるべきだ」ではなく
「今回の決定とそれを歓迎する思考プロセスがクソである」
ということを言いたいのであって、結論が「社会人対学生でなくなる」であってもその本質が「天と地ほど違う」事を理解してお読み戴きたい。

社会人対学生についての安全性の議論についても不可思議で、たった1校の監督だけが声高に危険を叫んでいるが、もし本当に危険であると判断出来る要素があるなら日本協会の医療技術研究会から報告が出て(あるいは関西学連がレポートを出すべき)であるが、そういった動きも見受けられない。
※動きとして内々にあったから今年からWGが開かれたという事も可能性としては存在するが、もしそんなものがあったら鳥内さんや小野さんが鬼の首を取ったようにあげつらう筈である。

さらに学校法人としての関西学院大学として一切発言がないというのも奇妙な話である。在学生を危険にさらすという報道を部活動の指導者がしているのだから、ヒアリングの上発言があってもしかるべきなのに、そういう報道もない。
※そういう意味では、たまたま2020年の全国大学ラグビー選手権の出場権に関するトラブルの際に抗議を行ったのが「関西学院大学」の名義で報道されているのに、ライスにまつわる疑義(というより不平不満)は監督とディレクターの個人名だけなのが対照的てある。つまりラグビーは組織として抗議し、アメフトは個人が勝手に言っているだけ、ということになる。それ、おかしくね?

つまり、本来なら

関西学院側に実際に競技を断念せざるを得ないほどの重篤な怪我が発生する、あるいは医療スタッフからその危険性が指摘される

チームとして今後の社会人トップとの対戦に疑義が出たと結論づける

関西学連を介して大学協会に意見書を提出

関西学連として意見書に沿った合意形成か出来て大学協会に答申

大学協会側から日本協会に上申

という流れが出来て、おおよそ日本協会にたどり着くのに最初から最短2年かかる筈なのである。

ところが今回は
第67回(2013年シーズン)から鳥内さんの言葉に「外国人が~」という言葉が出てくる
第68回(2014年シーズン)からあからさまに敗因を外国人のせいにする。このシーズンに関西最終節の集客が前年の大幅割れをする。
第69回(2015年シーズン)から西日本選手権に関西が2チーム出る事になる。
第70回(2016年シーズン)から「怪我が~選手が危険だ~」と言い始める。
第72回(2018年シーズン)さらに関西最終節と西日本選手権の集客が落ちる。このへんから公式会見後にマスコミに対して自説をアピールして記事にしてもらうようになる。
第73回(2019年シーズン)西日本プレーオフに関西が3チーム派遣。西日本豪雨災害の影響は関西学生1部には出なかったにもかかわらず過密日程化。ちなみに関西学生最終節と西日本王座は、どちらも1万人割れ。この年初めて関西学連に意見書を公式に提出。
2020年にWGが始まり、年度末の理事会に諮る結論が8月から6回の会合で出る。

なんかプロセス的におかしくないですか?
ずっと新聞記者にタレ流すだけで、手続きに入ったの2020年初頭でしょ。
日本協会の理事には大学協会から伊角さんと平井さんが入っているし、結構な数「将来的にライスボウルは変わるべき」論者がいるにも関わらず、正式な議論になるのに7年かかってるっておかしくない?
しかも外国人選手が初めてライスに出てきたのは64回大会(2010年シーズン。ケビン・ジャクソンは2009年シーズンから登録)、外国人選手によって苦杯をなめたのは65回以降毎回の事。
そして社会人と学生の体格差が顕著になったきっかけは2007年世界選手権(当時はW杯)でアメリカ代表と当たった事がきっかけであって(ちなみに関西学生だけが春期を通常日程でこなしている)、リーグ戦で外国人と当たっているからというより「北米大陸のチームに勝つ」という目的意識が、日本代表の選手の供給源である社会人協会に強くあるからなんであって、その意識が学生(とOBと老害ファン)にはほとんどないという事でしかない。
※国際的にもU-19は存在するが、ユニバーシアードはつい最近出来たばかりで、かつ北米や欧州最強のドイツなどは参加していない為、大学生が国際感覚を身につける機会は単独遠征のみである。が、NCAAの規約により米国外での試合、米国内で他国のちーむとの試合が出来ない。

ついでに言うと第69回の立命館、第71回の日大は、危険性に関する発言が報道されてないんですよ。もし本当に危険だというなら記者はそこについて質問して「危険」という言葉を引っ張り出すべきだったと思うし、そうしなかったというのは「実はそこがあまり重きを置かれていない(報道的には)」という事なんじゃないだろうか?

そういう議論が見えてこない以上、これは関学サイドの「負けた言い訳を正当化するための保身的な行動」だったと言わざるを得ないと思うし、そこに考え無しで乗っかった懐旧的老害ファンによる日本代表強化軽視でしかないと思うのだ。

ライスボウル改革に関して(3)

まず以下に展開される発言は
「ライスボウルは現行のままであるべきだ」ではなく
「今回の決定とそれを歓迎する思考プロセスがクソである」
ということを言いたいのであって、結論が「社会人対学生でなくなる」であってもその本質が「天と地ほど違う」事を理解してお読み戴きたい。

冒頭で「結局、有力校が駄々こねたらゴネ得になるんだ」と言った知人との会話にはその前がある。

知:よく出てくる「社会人と学生の王者が日本一を争う現行のライスボウルの試合形式は「時代の流れとともに、その役目を終えた」」(※これは宍戸さんの週刊TurnOverから)ってのが、よくわからないんだよね。
く;いやつまり「実力差がありすぎて勝負になってない」って事で
知:それがおかしいと思わない? 日本語的に。
く:は?
知:社会人と学生が日本一を争うことの役目が終わったの? ライスボウル以外で社会人対学生のトップ対決をする事は役目が継続するの? そもそもライスボウルの役目ってなんなのさ。主語目的語がぐちゃぐちゃじゃね?
く:一応、「日本でのアメフト誕生50年の記念行事として、他競技のように日本選手権を制定し、競技の普及に寄与する」のが目的なんだけど……
:だとしたら、文言通りに取ると「ライスボウルでの学生対社会人の王者対決」が役目を終えたのは、それが「競技の普及に寄与しなくなった」って事? 競技人口がライスボウルのせいで減ったって事?
く:いやそういう訳では……
知:そもそもさ、中継の変遷ってこの間話してくれただろ。そもそも初期は「試合開始からNHKでは中継してくれない」、酷いときには新春演芸会優先だったそうじゃないか。
く:でもドームになってからはフルサイズだよ。
知:だけどラクビーの学生準決勝はずっと総合だけど、ライスボウルはあっさり教育に島流し、さらにBSに島流し、さらには開始時間後ろ倒し。そもそも教育に島流しにされた時点で「その役目」ってのは終わってない?だってその時間総合は地方局作成番組枠なんでしょ。
く:いや一応地上派時代は……
知:つまりそもそも「バブルではじけていた一時期を除いて、ライスボウルとかそのへんを取り巻く環境」って最初から大して相手されてなかったって事でしょ。そもそも寄与してないんだから役目云々って違くない?
く:それも破綻している論理っぽいなあ。
知:つまりだ、客がメチャクチャ減ったとか、スポーツ新聞で三面で結果だけしか出ないとか、明確な「普及に寄与しなくなった」結果がある訳ではないよな。一応三面でもそれなりの枠取ってるし。
く:関西の人気が陰ったという話はあるよ。最終節の観客動員が1万切ったとか。
知:でも他のリーグの動員は特段増減している訳じゃないんだろう? じゃあそれはラグビーの対抗戦最終試合の早明戦と一緒で、単にブランドに胡座書いて集客の取り組みを怠ったり、その方向性が間違っているって事なんじゃないの? だって関東のチームがライスに出てもその翌年に集客が増えた訳じゃ無いんだから、それってライスボウル関係なくね?
く:しかし危険は危険だ。担架で運び出される選手が学生側に多い。身体の出来てない1年生とか2年生が……
知:でもサイドラインで防具付けてる選手は学生の方が多い。もしそんな危惧がある選手がいるなら、出場登録するチームが悪い。そういう選手は学生同士でも怪我するだけだろ? 社会人と同数以下に制限しても影響ないって事だから、それはチーム運営が間違っている。つまり「日本一になる為の身体作り」をハナからしてない学生側の姿勢の問題だ
く;それは言い過ぎだろう?
知;そうか? あたかも自分たちが正義みたいに「仕組みが悪い」って言い張ってるけど、どう見ても「勝てない言い訳」を政治力で正当化しているようにしか見えないね。本当に「やることやり尽くした」のかね。本当に「きちんと社会人に勝つという目標設定してそれに向かって最大限の努力した」のかね。話聞いてる限りでは全然そうは思えないんだよ。
く:確かに、学生さんの目標が甲子園チャンピオンって所で止まっている気はするんだけどさ。
知:結局、有力校が駄々こねたらゴネ得になるんだ。そんな改革から生まれた結果が、良い方向に向かって転がるとは俺には到底思えない。それこそ今の千倍は必死に売り込みかけない限り、シュリンクする一方だと思うよ。

外野からの指摘だが、瑕疵はあっても論破出来る間隙を、くぼたさんは見つけられなかった……