OTの記述について:OTは計時するのは25秒計のみなので、「1回目の先攻/後攻の○回目攻撃」という記述にしてある。つまり1Bot-5は「1回目後攻の5プレー目」の意味。
正規時間内での引き分けにより、両校優勝。両校優勝は関東学生選手権開催以降では2回目(1973年第4回の日大-法政。この時は抽選で甲子園出場校を決定するシステムで、日大が抽選で勝った)。
どうまとめていいものやら……
本当はテレビ放送待ちして、細かい背番号とか捉えてから書きたいという欲望が抑えきれないのである。
メモできなかった番号の選手、本当に申し訳ないと思う。彼らがこの試合の主役なのに。
とにかく、試合中に鳥肌立つほど素晴らしい守備戦で、こんな試合を生で見れた事を、幸せに思う。
※唯一画竜点睛を欠くのは、場内の表示。Down/Ball On/ Yardが出てないのは、やはりつらい。バックスタンド側からだと西日のせいで見づらいのである。かといってメインスタンド側はロイヤルボックスとプレスシートが邪魔で見づらいんだ。
以下、ヤード数は手元の記録によるので、かなり誤差がある事は覚悟していただきたい。
試合はコイントスに勝った日大のリターンで始まる。このキックオフが高くてバックスピンのかかった奴で、もしかしたらキックチームが押さえられたのではないかとさえ思う。まあ、それでも自陣26ヤード。
日大の先発は、シーズン通り#11平本。
法政は日大に対して3-4でOLBあたりがブリッツを常に入れるような感じ。最初こそ#30赤堀のランだったが、2プレー連続でスクランブルに追い込んでいるあたりはさすが(ファーストドライブで既に3回スクランブルしている)。しかも3回目のスクランブルで法政陣に入れたものの平本は負傷して下がり、#10山城へQB交代。山城はパスを投げ込むが、マンカバーがびったり付いている法政の前に、さらにブリッツ攻勢でコントロールも難しく、結果として13ヤードのパスは通した者の、ディープ狙ったロングパスが長すぎる上に逆リードで、カバーしていたDBにストライクになってしまって、最初のドライブで波乱のターンノーバー。
返しのドライブは法政#9小田と#12山口のタンデム。なんだけどこちらも日大の強力ラインの前にプレーさせてもらえず。
ちなみに第1Qで法政は8プレー15ヤードしかさせて貰えてない。見ていて不安MAXな1Qなのだけれど、それはまた凄いオチが待っているのである。
正直、日大は3ドライブして、全部40ヤード以上稼いでいる。終わり方は1回目:敵陣9ヤードでインターセプト/2日目:敵陣3ヤードでFG失敗(それた)/3回目:パントで敵陣5ヤード。悪く言えば自滅して点にならないという。
たとえば2つ目のドライブ。日大陣41Yardからの攻撃も、短いパスとランを織り交ぜ、途中法政の不用意なホールディング(WRがつんのめった所を、押さえてしまった為に取られた)で儲けた面もあり敵陣1ヤードまで進むも押し戻されFG。しかしこれが角度がきつすぎたか失敗。
3回目のドライブから、法政はコーナーブリッツを入れるようになり、これが試合中盤に日大を苦しめる事になるのだが、機動力あふれる法政守備フロントの猛威はこのへんから点火していく。いやはや、本当に凄かった。
さて1Qラストプレーでパントとなり自陣2ヤードから攻撃となる法政、ここまでダウン更新1回。さすがにちょっとと思ったが、#6堀のダイブと#29原の左オープンで自陣15Yard、パス2回(ヒッチスクリーンと短いパス)で自陣25Yard、さらに日大が交代違反で自陣30Yard。タイミングが合わずにフォルススタートを取られて罰退するも、原がHBパス狙いのところで判断よく自分でキープ(狙いであると判断したのは、一度速度を落として周囲を見回した事と、ボールを持った腕で小さくスローアクションした事)。これで一気に自陣40Yardまで進む。
しかしこの次のプレーでたたみかける為にロンリーセンター(向かって左ハッシュにセンターと#29原、中央付近に他のメンツ)を仕掛けようとしたが、あせり過ぎたかスナップが乱れ原が取れず大きく後ろにそらしてしまう(結果ゎ法政のリカバー、自陣22Yard)。これが響いてパントに。
もしこの時ロンリーセンター成功していたらどうだったろう。日大守備がパニクっていたので試合の展開が大きく変わっていたかも知れない。
この後両チーム1回ずつ3回で攻撃を終え、7:09日大自陣14Yard。最初のプレーでカバー厳しくスクランブルで5Yard。続いてまた4Yardを#6松崎のランで取ったものの、フォルススタートで下げられ自陣18Yard。
ここまでかな、と思ったら#11平本から#22金井へのパス。ブリッツがわずか届かずパス成功、自陣33Yard。続けざまに#84吉田へのミドルパスが通り敵陣47Yard。
しかし法政もお見事ここでサック炸裂。しかも次のプレーでエンクローチメント発生。自陣44Yardまで押し戻されるが、ここで法政が致命的ミスを。
左サイドツインセットのワイドアウトに位置した#22金井(だと思うのだが)がDBをかわそうとしてつんのめり、そこを妨害するようにDBが押さえ込んでしまう。これがインターフェアとなって、法政陣29Yard。ここからスクランブル、#84吉田へのショートパス、#30赤堀へのオプションピッチを試みるが、結局22YardからFG。
ところが、そこでちと気を抜いた久保田が度肝を抜かれた。
はたと目をやると、守備ラインの押し込んだ大津波の中に、蹴ったボールが飲み込まれていた。
ち、ちょっと! 準備できてないよ心の。なんですと、その、スクリメージ越えてないじゃないですか。久しぶりですよこんなの。
その返しのドライブ、リバースフェイクから#29原が、またスローフェイクかましてオープン一気で敵陣25Yard。続けてパスが#81栗原に通って敵陣4Yard。さらにここで原がドローでオープンに。ちらりと反対側を見ればそこにQBがフリーでパスコースに!でもそこでカバーが崩れていると見るやパスやめてそのままエンドゾーン。
あれよあれよという間にTDですよ。すげえっつうか、何が起きたのか訳判らないっつうか、瞬間最大風速で駆け抜けていってしまった。
この後リターンした日大は1プレーして時間を流して前半終了。
もうね。守備だけでおなかいっぱい。両チームとも凄すぎ。
前半のスタッツは以下の通り。
|
日本大学 |
法政大学 |
ダウン更新数/パント数 |
9 / 2 |
6 / 4 |
パス(試投-成功-INT-距離) |
17 – 12- 1- 122 |
13 – 9 – 0 – 63 |
ラン(試投-距離) |
18 – 60 |
11 – 48 |
合計 |
34 – 182 |
22 – 111 |
反則(回数/距離) |
3 / -15 |
3 / -42 |
ファンブル/ロスト |
1 / 1 |
0 / 0 |
占有時間 |
18:56 |
11:04 |
結局、法政は2Qのドカンドカンという原のランだけで試合を逆転させてしまったのだ。往々にしてこういう展開なのだろうけど。
さて後半は法政のリターンから試合が始まる。
ところが、原が出てこない(前半のロングゲインの際に怪我をした模様。これから大半のランプレーを#6堀が担当する)。
無論このチームのポテンシャルでは、#6堀の実力もさることながらラインがいいので、大崩れすることはない。
自陣27Yardからのドライブは、堀の左オープンで1ヤード稼ぎ、#85田島へのクイックパスで32Yardまで進むと、先ほど失敗したロンリーセンターから左ウイークサイドへ堀が持ち出し、敵陣47Yard。しかしここから失敗、QBカウンターキープで43Yard、ロンリーセンターは読まれて46Yard(そりゃ見え見えだもの)と、攻撃が続かない。この後ラン1回パス失敗1回でパント。
返しの日大は自陣18Yardから。2プレー目でインターセプトされそうなパスをカンバックしてきたレシーバーがもぎ取るというシーンもあったものの、スクランブル2回と追い込まれた時の平本のスクランブル能力でゲインを重ね、さあパスで一気にエンドゾーンを、という#81中村へのポスト、これがコントロールが乱れて法政INT。そのまま勢いでエンドゾーンに入ってダウンしたので1ヤードからの攻撃に。
ここで堀がFBダイブでねじ込むも、次の原のオープンは押し戻させ1Yard、なんとか3Yardでパント。
このへん、もうね、力はいってます。凄いです。
結果としてパントが距離出ず、法政陣38Yardから。初っぱなにスクランブルして3Yard進み、#30赤堀のラン、#25藤巻へのパス、赤堀と#6松崎のランで11Yardまで進むと、右へのリバースフェイクから左カウンターQBキープで、遂に日大同点。
返しのドライブ、ここで日大が少し気を緩める。法政陣20Yardから始まったドライブ、#81栗原のジェット(一時期シザースと覚えていた、モーションバックにハンドオフするランニングプレー)、#25森へのヒッチスクリーンで25Yard、緊張走る3rd5Yard、ここで守備がオフサイドしてしまうが、かまわず法政はプレー、栗原が左サイドを駆け上がりそこにパスが通る。これで一気に敵陣27Yard。ほんの一瞬の隙に足が止まった日大痛恨のミス。
ここから原がインサイドをカットバックし、次のプレーで堀が左オプションピッチでタッチダウン……え?
ファンブルしてる。エンドゾーンギリギリでラン種が群がり、おお日大リカバー!!!!
何度目の鳥肌だい。凄いよ。恐ろしいよ。なんなんだいこの展開。
この返しは赤堀のランの後パス2回を法政DBがタイトなマークでパス失敗に追い込む。
その後のパントで、カバーチームがナイスカバーでしとめたと思ったら、遅れたタイミングで倒れたリターナーのヘルメットにヘルメットで当たりに行った馬鹿たれがいた。この時首を痛めたであろう法政の選手は相当長くグラウンドで横になっていたと思う。彼が大事なければ良いと切に願う。
というかタナボタ状態ではあるが敵陣41Yardからの攻撃。原へのヒッチパス、#9小田がロールアウトからスクランブルで敵陣34Yard。
ここで3Q終了。通算スタッツは、手元では以下の通り。
|
日本大学 |
法政大学 |
ダウン更新数/パント数 |
14 / 4 |
10 / 5 |
パス(試投-成功-INT-距離) |
23 – 14 – 2 – 139 |
13 – 9 – 0 – 63 |
ラン(試投-距離) |
28- 136 |
11 – 48 |
合計 |
51 – 275 |
22 – 111 |
反則(回数/距離) |
4 / -30 |
3 / -42 |
ファンブル/ロスト |
1 / 1 |
0 / 0 |
占有時間 |
24:34 |
20:26 |
ラスト4Q、#12山口から#81栗原へのカンバックが通り32Yard、原のジェットで30Yardとギャンブルしてダウン更新。
続いて小田がキープした28Yardまで進むと、山口から栗原へのミドルパス。これがゾーンの切れ目に入り一気に10Yardまで進めば、次のプレーはQBがオーディブルの伝達している最中に原へのダイレクトスナップで4Yard。さらに栗原へのパスが決まり2Yard。
仕上げはパワーIから栗原が左オープンに出て日大を突き放すTD、ゲット。
この返しのドライブ、キックオフをスクイブにした法政は、日大陣40Yardからの攻撃にしてしまう。
そして、ここで日大が思い切った戦術(そして、思えば日大にとっては伝統的でさえある方法論である)、ラン主体のドライブを始める。
実にこのドライブは12プレー中10プレーをランで費やし、一度反則で下げられてしまったものの、じわじわと進み残り20Yard(この時サックされて5ヤード下がっている)。さあ同点かと言うところで、中村へのパスがDBに読み切られてINT喰らいターンノーバー。
もう、鳥肌ものですよ。
でもここから日大守備が3回でパントに追い込むという、こっちも凄すぎる展開。堀のダイブ、中山へのクイック、あと1Yardと言うところで原の左スイープが、守備ストロングサイドの強烈なプレッシャーの前にロス、自陣9Yard。さらにパントの際に1秒の制止がないためにイリーガルシフトを取られる。
で、このパントが法政陣48Yard。
最初のプレーで右ワイドにいた金井がディープに走りとこにパスが通り一気に敵陣10Yard。うおお、来たよ来ましたすごいよ来たよ、と暴れてました私。
続いて#24神山の右トリップス体型での左レシーバーのスラントで16Yard。さらに畳みかけるように左ランプレーを仕掛けた、と思ったらQBカウンターキープ。法政の殆どが左に流れて加速するには十分な状態で平本がTDし、同点に。
いや、決まったと思ったよ。ホント、マジで。正直法政攻撃は万策尽きたと思ったもの。
事実、自陣27Yardからの攻撃がパス失敗、パス成功Ball on 29Yard、パス失敗と3回で終わったときは、日大の勝ちを確信していたのね、
冗談じゃなかった。
最後のドライブを自陣43Yardで初めて日大。最初のパスはパスカットされるも、平本のスクランブルで45Yardまで進むと、ここで#84吉田へのアクロスを決めて法政陣37Yard。ここで残り2分を切る。
#6松崎のランと平本のスクランブルで26Yard、続くパスは失敗するも#25金井にアクロスを通し19Yard。次のパスが棄てパスとなり残り42秒で時計が止まり、FG。
決まったと思ったよ。ふっと力を抜いたのね。
いきなりラインが割れて、キックブロックですよ。
どうしましょう。想定外です。んなアホな馬鹿なですよ。
いや本当に唖然呆然。
凄いよ本当に。負け試合ひっくり返したのよ本当に。
その後ハーフウェーまで戻して時間切れ、分裂リーグ時代から見ても2回目、現行フォーマットになって初めての、同校優勝。そして、タイ・ブレーク。
さてタイブレーク1回表。ここはコイントスに勝った日大が後攻。最初のプレー、なんといきなりインターセプト!
後攻、プレーがかみあわず最初にタイムアウトを消費した日大、松崎の左オープンでBall on 25Yard、次のプレーで平本がサックされBall on 33Yard。そこからパスで、19Yard。
また、日大の勝ちタイム。
で、またしても、またしても、本日3回目のキックブロックでスクリメージを越えない!おおおおおおおおおっ!凄いぞとんでもないぞ奇跡だぞ
次はエンドを入れ替え、かつ今度は先攻を日大がチョイス。
最初のプレーで、岡野にポストを走らせTD。
トラポンを、外した。
マジかよ。遂に法政守備、キッカーを破壊す。いやスペシャルチームコーチ自信なくすよこれは。キッカー攻められないもん。
裏の法政。最初のプレーはQBからハンドオフを受けた原がさらに堀にハンドオフ。でもって堀が#84服部にパス!これが相守備インターフェアを誘いBall on 16Yard。次は原にフェイクを入れて堀の右オープンで14Yard。
タイムアウトが入って、次のプレーで#9小田から#85田島へのパス。低いパスをダイビングキャッチしたのだが、一度手からこぼれて、それを必死に落とさないように体を捻って確保している、ようにも見えるのだが、メインスタンド側から撮影されたオーロラビジョンでは、体が影になってボールが落ちたかどうかと言われると落ちているようにも見える。
この判定に内田監督が執念の抗議、そりゃ2Yardだもの、抗議するわさ。
しかしこの時、法政は12人でハドルを解いていた。抗議せずにプレーしていたら下がったのだ。この抗議で法政、実は命拾いしていたかも知れない(関係なかったかも知れないが)。
そして、左オフタックルを原がねじ込んで、同点! キックも決まって大逆転勝利となった訳である。
いやはや、もう守備が凄いです。ものすごいです。それしか言えません。最高です。両チーム守備に惜しみない賞賛を与えたいと思う。
攻撃について言うと、数値的にも日大の方が有利だった。正直、法政の攻撃はラッキーパンチというか、トリックプレーでロングゲイン、という感じだったから、崩しきった感じはない。逆にエンドゾーン間近での3INTとFG3ブロックという結果はあるが、日大の方が攻めていた。
その攻撃を最後の一線で踏み止め、それ以上に日大にプレッシャーを与えた(文字通りのプレッシャー。プレッシャーをかけに行く、のではなく恐怖心を叩き込んだと言うべき)、何度となくQBにスクランブルを強いた完璧に近いパスカバレッジ、変幻自在のブリッツの法政守備が、実に試合を支配していたと行って間違いない。
こんな事を言うのは失礼であることは承知の上だが、MVPが原というのは、投票者の見る目がないとしか言いようがない。正直、試合中盤で怪我をした事もあって原は平凡な結果に終わったと思う。彼はもっと記録が出ていいと思う。
本当は守備ラインを代表して誰かにあげたかった。
でも、この意見は決して原を貶める事にはならない。そう思っている。
日大の内田監督のコメントでは、かなり選手が萎縮しているような感じを抱いていたように思うが、それは違う。実に素晴らしい選手達だったと思う。
とにかく、立命館とどう戦うかが楽しみである。