11/15駒沢陸上総括

詳細に各試合を振り返るのは、あまり適切な手法ではないと思ったので、いつもの観戦記スタイルは採用しません。

今回10時45分くらいに会場入りしたのですが、ちょうど小樽商科大がパントブロックを決めた所でした。そこんらの感想となることだけお断りします。

で、まあ2試合を比較して感じた事は「今後の大会に希望を持てる試合」と「今後の大会に絶望する試合」を見せられた気がする、という事です。

実は今回、公式パンフで小樽商科大の監督さんの紹介文に「勝てるチームより強いチーム作り」という言葉があって、はたと目から鱗が落ちたわけです。凄い姿勢だなあ、と。考えてみれば100点満点の試験で11点しか取れなくても、他の人が10点以下なら、学年一位ですよねえ。それでは80点の人には永遠に勝てない。ラッキーと知略と努力で覆すのであれば、最低68点は自力で持たないといけないと思う訳です。この監督さんは、そういう姿勢なんでしょう。
それは、日大の篠竹さんが「アメリカに勝つためのフットボール」と言っていた事に通じるような気がします。

実は試合的に言ってどちらの試合がおもしろかったかと言うと、明らかに第1試合です。獲得距離については仙台大の方が上回っていますが、基本として3Q終盤からの一定の時間帯にロングパスが通った為に距離が出ているように見えるだけで、前半だけで帰ることすら視野に入れたくにらいです。
この差はどこから来たかというと、フットボールをどこまで理解しているか、という所に起因していると思うのです。
誤解を恐れずに言うならば、仙台大はダイヤグラム(プレーチャート)を理解したのに対し、小樽商科はプレーの裏にある本質を理解していたように思えてなりません。
その上で「守備がスピード負けしない」「ラインがまっすぐ押す所は互角以上」という(多分に判官贔屓が入るが)印象を試合中見せてくれた。つまり、単純にまっすぐ突っ込めば、法政の2番手以降とはいえ止まる。パスカバーだって必要な本質ほわきまえているからこそスクランブルプレーに出来る。
それに対して仙台大は、浅いゾーンカバーであればその裏に行く選手を完全にリリースしてどフリーにしてしまう。
ライン戦だって勝ったという場面はなく、せっかく優秀なバックスがいるのに(出ていた3人のRBはどれも関東中位くにらいのチームでエースを張れそうな感じがした。何よりも足が止まらないところが良い)、結局ゲインがろくに出来ず。
しかも仙台大の悪いところはボールを掻き出され過ぎ。
つまり、こういう言い方は失礼ではあるが「下地が途上なまま、プレーは高い位置で何とか出来ると思って努力した」という感じですわね。

もう一つ違いがあるのはキッカー/パンター。小樽商科大は追い風を巧妙に使い、2Qと3Qは驚くことにリターナーがエンドゾーン近くまで下がるし、風による空中イレギュラーからタッチバックを2回もやってのけた。それどころか追い風ではあるが47ヤード、52ヤードのFGを成功させている。仙台大はTFPを2回とも失敗(しかも、完全に蹴り損ない)。これはあんまりである。必死にやっている選手には無礼な言い回しではあるが、あの距離で全くバーを超えそうにない角度でしか蹴れないのは、やはりいただけないと思うのであります。

小樽商科大は「ダイヤゴナルな走り」つまりカットバックして斜め方向に走り出された時の守備がしっかりする事が出来ればもっと守備的にはさらなる向上が見込めると思います。
逆に仙台大はファンダメンタルの向上が先。凝ったよそ行きのプレーの前に、自分たちの武器をしっかり磨いて欲しいものです。

あと、両チームに共通の事として言えるのは、「QBの反応速度、パスの精度をもっともっと高いものにすること」。小樽商科大はせっかくフリーなのにコントロールミスしていたり、とにかくQBのパスにムラっ気がありすぎる。仙台大は決定的にパスの動作と判断が遅い。こういうところを徹底して直して育てて行く事を蓄積していかないと。

いずれにせよ、この試合を経験した選手達が母校に何を残せるのか、が問われた結果だと思うので、来年どうなるかが楽しみです。でもそんなに長くは待てないと思うよ、時間的なモノとしては。