さて。
トータルのスタッツを見て「ファンブルロスト3回で、何故鹿島が勝てるか」という疑問を持つ人もいると思うのだけれど、これはもう、そういう問題ではない。
どっちかというとコーチのフットボールセンスの問題かも。というか、多分、そこだと思う。
試合は鹿島のリターンで始まる。これが低空キックだったがリターナーとブロックが良く決まり、いきなり敵陣47Yardから、となる。
鹿島先発は#12加藤。しかし富士通がプレッシャーを掛けることで、パス失敗、ランでロス、パス失敗であっさりパント。
(パント時に「キッカーへの走り込み」があったがディクライン)
返しのドライブの富士通は#19吉田。
まずQBドロー、#30金へのパスでダウン更新、金のラン、ブレナンへのパス、#6神山のラン2回、吉田のスクランブル、1回パス失敗を挟んで金の中央のラン、吉田のドロー、で先制FG。
続いての鹿島のドライブではQBを#10山城にスイッチ。最初に#38佐藤へのラン、パス失敗(これで#25岩井がアウト)、#11前田へのパス(というか、ツインセットのSEに対してロングピッチ。公式記録ではどうもパスとして見ているようです)でダウン更新、#24藤森のスイープ、藤森のジェットスイープで敵陣34Yardまで進むが、ここでスナップを山城が弾いてしまい、それをファンブルリカバーされてしまう。
しかしこの条件で鹿島守備はロスタックル2回を含め3回でパントにしてしまう。
返しでは#12加藤のスクランブル、丸田が2回中央を突いてパント。
ここで富士通はQBを#18出原にスイッチ。最初に神山のラン、次のパスの時バックサイドブリッツの影響でパス失敗ま次に出原がオプションドローでダウン更新。(このへんから2Q)
次いで#87大矢のアウト、神山へのスクリーンで敵陣に入るも次のパスがドロップ。パントに。
このドライブ、最初に佐藤のランで進めず、#18永川へのパスで自陣24Yardまで行くも、次のプレーでホールディングがあり14Yard。佐藤へのショートパスで進んだ後に#11前田へのポストが決まり一気に自陣42Yard。
次の永川へのパスはドロップするも、続けて名か゜゛かわへのミドルインが決まり敵陣40Yard。さらに丸田が走り、続けてジェットスイープしはた藤森へのハンドオフフェイクからその藤森へのスイング。ここで24Yard。
しかし次の佐藤のランから2回のパス失敗(無理のあるショベルパスがDLに当たる、DBナイスカバーでカット)でFG狙いも失敗。
この返しで#80米山のジェットスイープ(一度落としたが拾い上げた、公式ではカウントされていなうようです)、米山へのパス、次いで米山へのパス失敗のあと、金が左サイドをカットバックで駆け抜け敵陣38Yard。出原がキープ、#82強へのクイックと進めるが、次のパスに失敗してFG狙い。
ところがこのFGが中央割られてブロック、スクリメージを超えていない状態でキッカーの西村がリカバーしてしまい、勢いのままボールを足元に叩きつける(※スクリメージを超えないキック失敗は、ファンブルと同じ扱い。従ってこの時西村はパス失敗を狙ったと思われるが、フォワードモーション入ってないので結果はファンブルと一緒なのである)。結局自陣37Yardからの攻撃を相手に渡してしまう。
鹿島は#10山城でドライブ。まず藤森の中央、次いでパスを狙うもカバーされさらにDLが入ったためスクランブル。
しかしここでQBが#12加藤になったので、もしかして山城にアクシデント? しかし加藤が永川のアウトのパスを決め、敵陣に入る。スクランブルで1ヤード下げられた所でタイムアウトで時計を止め(残り1分38秒)、続けて前田、永川、前田の潤でパスを通し、最後はバンチのインサイドにいた#2中川にパスを通して鹿島逆転TD。
このあと富士通も敵陣42Yardまで進むがホールディングで罰退し、最後に#17秋山へのヘイルメリーを狙うも、DBカットで前半終了。
後半は富士通リターン(でもこの時審判がリターンエンド間違えたのには失笑)
最初のリターンでいきなりイリーガルブロックで下げられる。それでも吉田から大矢へのパンプフェィクいれたパスが決まり32Yardまで進む。神山が2回持った後のパスで、バックサイドブリッツで入った#21加藤(公)がサックで轟沈。
さらにパントスナップが高くパンターが弾いてしまう。なんとか蹴り出すも富士通陣36Yardからの攻撃を与えてしまう。
そこで初っぱなに2HBスプレッドで、右ハンドオフフェイク左カウンターピッチというプレーで佐藤に走らせダウン更新、一気に24Yard。藤森のラン、丸田のランで攻め上がると、止めに前田にTDパスを狙う。通された、と思った瞬間DBがハードヒットでドロップさせパス失敗。FG止まりとする。
返しのドライブ、吉田からのスクリーンを#28進士が取れず、ロールアウトした吉田がサック、なんとか米山にフックを通すもパント。しかもプレーデッド後にレイトヒットまでしてしい、富士通陣39Yardからの攻撃。最初のパス失敗の後、右トリップスの中央(便宜的にインサイドレシーバーの外で一歩下がった位置にいるのでFLと解釈しています-何かでそういう記事を見た記憶が根拠-が、違っていたらメールでご指摘下さい)にセットした藤森のアウト(しかも前で前田が囮でDBを吊っている)で、追加点。
この時点ではもう、ダメかもと思ったのですが。
次のリターンで鹿島痛恨のホースカラータックル。せっかく富士通23Yardで止めたのに、38Yard。出原が大矢に決めて敵陣48Yard。次はパスカットされ、#17秋山へのショートアウトが決まって、ここで富士通タイムアウト1回目(※振り返ればこのタイムアウトが勝敗を分けた遠因1)。
ここで再三パスカットされていた#83春日へのパスが決まり36Yard。次いで出原のスクランブル、パワーセットでの金のラン。
そしてブラストフェイクのTEポスト、ダブルチームのDBが取れないところにパスを落とし、これを大矢がめい一杯手を伸ばしキャッチ!この試合富士通初TDでスタンドがかなりいい感じ。
勢いに飲まれたか自陣34Yardからのリターン後の攻撃でパス失敗、交代違反で罰退29Yard、パス失敗の上にプレー後にレイトヒットがあって14Yard。中川へのバンチSBスクリーンで26Yardまで戻すも、次のロングバスでレシーバーが躓いてしまいオーバーリードでパス失敗。パントも富士通陣41Yardと、完全に流れを失った状態。
ここで流れに乗りたい富士通は、出原のQBドローでロスするもダイブフェイクから出原がQBドロー敢行で45Yartd。さらにブレナンへのパスで敵陣49Yardに入る。残りインチ4thダウンでギャンブル狙いも、フォルススタートを取られてパント(※ここが遠因2かも)。
ただこのパントがラッキーバウンドもあって、敵陣1Yard。
もう周辺で「セイフティ狙え、突っ込め!」大合唱。最初のプレーはゲインできず、で3Q終了。
4Q最初は前田へのスラントで14Yard。さらにここでフェイスマスクで29Yardまで下がる。
ここでリズムに乗る鹿島。中央を丸田が走り36Yard、右とリップかから左にロールアウトしてカンバックした左SEの永川へのパスで50Yard、さらに中川への食いつくパスが通り32Yard。
さらに佐藤が中央を突いて28Yard。
こりゃダメかな、FGもってかれるかな、と思った次のプレーで藤森のエンドアラウンド、これをハードヒットでロスタックルにしたらファンブル、リカバーして富士通自陣34Yardから攻撃!
まず金が中央を走り敵陣45Yard。出原のランは止まるが次のプレーでタイトなカバーの中#89植田にパスを通し42Yad、次いで神山が走り31Yard。
鹿島も次の神山のランを#21加藤がブリッツでロスに押さえ、進士のラン2回がゲイン出来ず(※ここが直接の敗因1)、なんとFGは中央で軽くディフレクトされて右にそれて失敗。
だかしかし!
鹿島最初のプレーで猛烈なラッシュ、加藤がサック!そしてボールがこぼれる!リカバーしたのは富士通!
ここで入ったQBは吉田。最初にブレナンへのパスを投じるが長くて失敗。しかしダイブフェイクからQBキーバーで11Yar市まで進むと、続けてダイブフェイクQBキープで3Yard。
最後は金が走り込んで、TD!
周りが歓喜につつまれる中、一瞬にして醒める出来事が。TFPでまたしても中央からのプレッシャーでキックがはたかれ、右それ失敗。(※直接の敗因2)
ここから鹿島のこう見ような試合運びがダメージを濃くしていく。(※直接の敗因3)
リターンは自陣30Yardからだが、最初に#7植村へのパスを通し46Yard、藤森へのカウンターピッチで敵陣33Yard。永川へのヒッチスクリーンで25Yard、植村へのスクリーンで17Yard、佐藤のランで9yard、加藤がロールアウトしてつまり12Yard。
ここまでで4分半。時間は使われる距離は出る、FGで押さえないと勝ち目がない所で、仕上げは右トリップスFLの中川へのバブルスクリーン。ノーマークでした。
結果、追い上げのパスの精度が欠け、DBカット、高くて合わず、高くて取れずに弾いた所をインターセプト-でもあのインターセプトは神業なので、インセプ自体は加藤を褒めないと-。あとは残り時間食いつぶされて試合終了。
さて、富士通の敗因に「遠因」と「直接の敗因」を挙げた。
まず遠因1。実はタイムアウトがあと1回あれば、最後にヘイルメリー出来たかも知れなかった。
遠因2については賛否両論あると思うが、あそこでギャンブル成功していれば、試合の流れは富士通に傾いていた。そういう意味で、あのパントは(ギャンブル如何に関わらず、その前にダウン更新出来なかった事も含め)痛かった。
同様に3Q最後のプレーで一息相手が付けたのも痛かった。流れ切れちゃったから。
直接の敗因1について。何故あそこでランプレーを4回連続でやったのか。1回くらいパスを混ぜておくべきではなかったか。特に最後の進士のランは、裏の裏のつもりなのだろうけれど、全く裏になっていなかった。
これはもうセンスの問題。
敗因の2。この日最初のキックブロックは角度の問題として多少養護できるが(最長記録狙うなら、本当は養護できないんだけど)この日はとにかくキックチームが真ん中へこまされる(下に潜らされてしまい、カバーチームの手が出やすい)事が多かった。
敗因の3。ノーハドルであるかどうか、は問わない。この鹿島の狡猾なゲームマネジメント。時間を流すプレーのチョイスと、完全に後手に回った富士通守備。
このドライブでバブルスクリーン2回入れて、それなりにゲインしている訳なのに、最後まで攻撃的に守れなかった。このへんのフットボールセンスに疑問を抱かざるを得ない。
さらに手元の集計を見て頂こう(あくまで手元の集計なので、記入漏れとか解釈違いなどはご容赦戴きたい)
KD |
Run |
Pass |
反則 |
Turn Over
(Lost) |
時間 |
ダウン更新 |
回数 |
距離 |
試投 |
成功 |
距離 |
回数 |
距離 |
Run |
Pass |
Foul |
1Q |
8 |
17 |
4 |
1 |
12 |
0 |
0 |
1 |
06:56 |
1 |
0 |
0 |
2Q |
6 |
15 |
14 |
10 |
124 |
1 |
-10 |
0 |
07:51 |
0 |
7 |
0 |
3Q |
4 |
61 |
7 |
2 |
33 |
3 |
-35 |
0 |
04:15 |
2 |
0 |
1 |
4Q |
10 |
28 |
7 |
7 |
89 |
0 |
0 |
2 |
07:21 |
1 |
5 |
0 |
1H |
14 |
32 |
18 |
11 |
136 |
1 |
-10 |
1 |
14:47 |
1 |
7 |
0 |
2H |
14 |
89 |
14 |
9 |
122 |
3 |
-35 |
2 |
11:36 |
3 |
5 |
1 |
GAME |
28 |
121 |
32 |
20 |
258 |
4 |
-45 |
3 |
26:23 |
4 |
12 |
1 |
FF |
Run |
Pass |
反則 |
Turn Over
(Lost) |
時間 |
ダウン更新 |
回数 |
距離 |
試投 |
成功 |
距離 |
回数 |
距離 |
Run |
Pass |
Foul |
1Q |
12 |
58 |
5 |
3 |
34 |
1 |
0 |
0 |
05:49 |
3 |
2 |
0 |
2Q |
4 |
40 |
11 |
5 |
42 |
1 |
-5 |
0 |
04:09 |
2 |
2 |
0 |
3Q |
8 |
2 |
9 |
7 |
84 |
3 |
-30 |
0 |
07:17 |
0 |
4 |
0 |
4Q |
9 |
48 |
5 |
1 |
7 |
1 |
-15 |
1 |
04:39 |
3 |
0 |
0 |
1H |
16 |
98 |
16 |
8 |
76 |
2 |
-5 |
0 |
09:58 |
5 |
4 |
0 |
2H |
17 |
50 |
14 |
8 |
91 |
4 |
-45 |
1 |
11:56 |
3 |
4 |
0 |
GAME |
33 |
148 |
30 |
16 |
167 |
6 |
-50 |
1 |
21:54 |
8 |
8 |
0 |
第2Qにパスでがっつり攻撃され、第3Qでランのロングゲインを許し、4Qはパス全部成功。
これは守備側にとって「どうしたのよ」と言いたくなるような出来を意味する訳です。
実際2QでTDとかFG取られた時のパス成功って、DBの前に入られるポストやら、クッション取りすぎたDBへのフックとかアウトとか、とにかくDBの前に入るプレーがほとんどだった訳で。
4Qではバブルスクリーンに対処できなかったし。
じゃあ攻撃はというと、時間で相手を上回ったのは3Qだけ。プレー数ほぼ同数でこれだけ攻撃時間が短ければ、大量得点取れない限り守備の負担は減らない。ちなみに3QはQBロスタックル多かった事も響いている(サックはラン扱いで集計)が、まともにランプレーいれてないのでだ。ラインを終盤に温存したかった可能性もあるけれど、それは12分計時でやるような事ではない筈。
結局3Qに攻めきれないのが、癖になっているのかと疑いたくもなる。
結局ノーハドル採用したとしても、「自分たちのリズムで」とかいうより「機械的に、単調に」プレーしていたという事なんじゃないだろうか。
色々戦略的に動きはしているのだろうけれど、少なくともバランスの悪さ、タイムマネジメントの問題、アジャストの問題等に於いて、少なくとも「テンポを守るために汲々として、本質的な所で相手にプレッシャーとなっていない」というのであれば、これは問題なんじゃないのか? と思うのである。
本格的な対策が必要なんじゃないだろうか。
別の視点で言うと、藤田さんの考えている事が、現段階で森さんには丸わかりで、藤田さんは森さんの考えている裏の裏まで手が廻らない、のではないだろうか。
このへんのフットボール・センスの差、ゲームバランスの差がチーム全体で埋まらないと、これから先も厳しい戦いになるような気がする。
少なくとも、あのラン4連発はねえよ、と思う。まるで打ち込まれるときの楽天の嶋のリードみたい。
いずれにせよ、これで2位がほぼ確定(ちなみに、鹿島が現在得失点差+8、富士通は+12、オール三菱は-20。オール三菱が最終節で14点差以上でオール三菱が勝てば富士通1位、オール三菱2位、鹿島3位。13点差以下で勝てば富士通1位、鹿島2位、オール三菱3位、の筈)。パナソニック(こちらは23日の直接対決次第ですが)・シルバースター(これもオービック+5、相模原-2、シルバースター-3なので、シルバースター4点差以上でシルバースター1位、オービック2位、相模原3位。8点差以上の場合シルバースター1位、相模原2位、オービック3位。3点差以下ならオービック1位シルバースター2位相模原3位、2点差以下及びシルバー負けならオービック1位相模原2位シルバースター3位、なんですけどね)という、注釈は多いけど一般的には確定というセカンドステージ確定のような気がします。