さて、試合はなんとも大味な結果になって我々の目の前に横たわっているのだが、なにしろインターセプト4回ファンブルロスト2回という数値が全てを物語っている訳で、厳しく言うと鹿島、自滅。
では何故自滅したか?
試合はシーガルズのリターンから。しかしまあ、いくらビックリターンをケアするからと言って、スクイブで攻めても、ピッチビックして受けた清水が戻しちゃうからねえ。
※但し、この試合の鹿島キッカー#14青木が決して本調子ではないようで、その為の苦肉の策だったのではないだろうか。
結果、いいフィールドポジジョンからの攻撃を許し続けることになったのがまず痛手であった。
さらに今回、シーガルズが立ち上がりから短いパスでテンポ良く攻め込んできた。(実際、ロングパスとして通ったのは3Q木下へのロングパスのみである。あとは成功したのはパスレンジとしてはミドルより短め)
過去のパターンだと時間のかかるパスを投げようとしてパスプロが持たずにプレッシャーがかかる、という状態で苦戦していた訳で、その予定だったとしたら鹿島は大誤算であった筈である。
※2シリーズ目も似たような感じだったので、なおさら。
では鹿島はどうだったか。
先発した#12加藤は最初のドライブでパス失敗2回。
10-0にされた後の2回目のドライブは、#11前田のいいリターンがあった事で自陣45Yardからのドライブとなり前田へのパス、丸田のランで敵陣 47Yardまで進むと、#25岩井へのパスで25Yardまで進む。が、次の#18永川へのパスがDBにカットされると、次のオプションはコースを切られ、さらに丸田へのショベルパスは失敗。結果としてFGで終わるが、どうも四苦八苦している。
さらに痛かったのはこの返しのドライブ。またしてもピッチバックから清水に戻されてシーガルズ陣47Yardからの攻撃。2プレー目でロングパスを狙ったところを鹿島守備がサックという大手柄も、#85萩山へのパスを通されダウン更新さ。さらに#21中西のスイープで1Yard進んだ所で#20古谷が一度外に出てから入ってくるパターンでパスキャッチ、そこからいい動きで守備を振り切って追加点。
正直この時古谷は完全にフリー、というより近くに人がいなかった。これではスピードに乗られたらいかんともしがたい。
(このプレーで1Q終了)
ここで状況を変えるべく、鹿島攻撃陣が切ったカードは、#16尾崎。今期初登場(だよね?)、恐らくプレータイミングが誰よりも素早い、鹿島必殺のジョーカーと言っても良いカード。
まずリターンが相手タックルミスもあって敵陣47Yardから。最初に#7植村へのパス失敗(ついでにホールディングあり)、次いで#38佐藤のラン、ついでスクランブル二発で敵陣30Yard。次いで決め打ちQBドローで18Yard。また植村へパス、次いで#34藤森のエンドアラウンド、パス失敗を挟んで植村へのパスが決まりTD。
このドライブで、鹿島側に流れが行った。
明らかにそう思えた。
実際、次のシーガルズは3回(フォルススタートがあるから実際は4回)でダウン更新無くパント。これが16Yardからとなる。
再び尾崎登場。だが、ここでまずホールディングで下げられる。次いで中川へのパス失敗。ただし次の植村へのパスが成功して27Yard。
次のプレー、スナップか乱れた。ゴロスナップを拾い上げた尾崎が左のフラットの方を見た。
そこにはすでにケヴィン・ジャクソンがパスをはたきに飛び上がっていた。
尾崎はケヴィンに当たってもパス失敗になると見越したのか、サックを避けるためなのか、とにかくケヴィンの頭上にパスを投げた。
はじかれた。
そこまでは良かった。
だが、そのボールがバックサイドラッシュに入っていた紀平の所に。
紀平、ノーバウンドでキャッチ。インターセプト。
あんぐり。いやはや何が起きたか判らなかった。オーロラビジョンで確認して初めて判った。
すごい。凄すぎる。いや、KJのとてころは想定内ですよ。紀平、すげえ。
しかももこの後、古谷のランと、菅原のオプションキープで追加点上げてしまう。
これはる意味鹿島に超絶なダメージを与えたと思う。
この後尾崎は出番無し。またしても加藤に戻るがこのドライブでパス7回成功1回と散々。自陣48Yardからという攻撃だった事もあって、その1回の成功で敵陣37Yard、QBドローがあって23Yard、丸田のランで13Yardとなんとか進むという感じ(これまでの鹿島攻撃から見たら、という意味で)で攻めきれずFG。
この後両者パントで前半を終わる。
確かに24-13であるならば、普段の鹿島の攻撃力なら、優に逆転出来る筈であった。でも、なんといってもKJと紀平のあのプレーが、ハーフタイムにおいて異様なテンションをスタンドに巻き起こしていたと思う。
その異様な雰囲気が悪夢となって鹿島に襲いかかる。
後半は流れを変えるために#10山城を投入した鹿島。藤森のリバースフェィクドローで進むが、次のリバースピッチが乱れてファンブルロスト。なんと2プレー目で鹿島陣35Yardからの攻撃権を渡してしまう。
※だからといってこの試合山城を下げてしまったのでは彼の成長に寄与しないと思うのであるが、そのへんどうなんだろう。
この絶好の機会を、シーガルズは萩山と#89森へのパスで打開(というのは、ランが思ったほど出ない。これは鹿島#42牧内のランストップが素晴らしかったからであるし、最後はねじ込んでTD。
ここでもう、鹿島は絶望的なキャッチアップ路線をつきつけられた訳だ。
挙げ句の果てに、次のキックオフでなんとファンブルロスト!
もうこれは精神的に「パトラッシュ、ぼく、もう、疲れたよ……」状態じゃないですか。
(すいません、最近職場で流行らせてるんです。行き詰まってブッチンって行きそうな気配の時に)
ただし、この絶体絶命徳俵につま先だけという状態を、鹿島守備はほんとうに爪の先僅かの所から盛り返して見せる。
木下へのパス失敗、森へのパスは1ヤードで押さえ、さらに清水へのパスでDBが上手く前に入り込んでインターセプト。
絶体絶命のピンチを乗り切った鹿島守備は賞賛に値する。
というのも、このあと攻撃のリズムを変えにQBを#13木下にしたシーガルズ攻撃を、結局3アンドアウトで止めてしまったのだ。
自陣19Yardからの攻撃、ランで23Yardまで進むもパス失敗。しかし続いて岩井に投げたパスが成功し、さらにラフィング・ザ・パサーがついて一気に敵陣47Yard。さらにランプレーを挟んだ後加藤がスクランブルで12Yard。
その後藤森へのバブルスクリーンからのランがギリギリの所で押し出され残り1Yard。これを最後に佐藤がねじ込み、鹿島希望が残るTD。まさに徳俵から土俵中央に戻す粘りのドライブ。
この時点で2ポゼッションゲーム、なんとか相手攻撃も止まっている。届かない点差ではない11点差。
けれど、それはすぐに絶望の淵へ。
自陣40Yardからの攻撃、まず古谷がいきなり相手陣40Yardまで進む。
次のパス失敗こそ頂けないが、またしても古谷のランで38Yard。ここでダウン更新のケアをした鹿島守備の裏をつていて、木下がポストへのロングパターンでDBを振り切り独走TD。
追いついてもすぐ突き放される。
特にこの攻撃は堪えた。
結果として次のドライブ、丸田のランや#20岩倉へのパスで敵陣31Yardまで進めるも4Q0:54の時点でギャンブルをせざるを得なくなり(2ヤード残し)結局失敗。
この後さらに息の根を止めるかのようにシーガルズは木下兄のオプションドライブでゴリゴリと進んで最後にTD。
このあと鹿島の攻撃は全てインターセプトで途絶える。その結果、こんな大差になってしまったのである。
一応断っておくが、2Q以降の鹿島ラン守備は、7割方を牧内がからみロングゲインにはしていない。ロングゲインは牧内の反対サイドや牧内がローテーションで抜けた時に起きている。
だから、正直前半に起きたインターセプト、後半最初のファンブルロストが全てだったと思う。
でも、あくまで、勝負は結果が全てなので、これ以上言っても仕方ない。
ただとにかく、鹿島攻撃が自分たちで勝手にアップアップの状態になったというか、必要上にラッシュにびびったというか、そんな印象が残ったのである。
まあシーガルズは、とにかく紀平のインターセプトと3Qの木下のロングパスですな。でもやはり入りが違うと試合のしまり方が違う。この適応力はさすがだと思う。
とにかく、個人的にはいやーな、与しにくい方がきちゃったという事で、そこだけはげんなり。
でも楽しみなんですよ。いいチームですもの。こういう相手と濃い試合が見ることが出来るのであれば、それは楽しみではないですか。