何を持って失敗と呼ぶかは別として、だ。
そもそも問題なのは「物価が上がれば利益が増えるから賃金に反映される」という考え方なんじゃないだろうか。
結局の所社員賃金が上昇する為には大幅な収入増があって(年収一人1万円上げるのに、単純に言って収入は1万×人数なので、200人の社員の為には200万必要。そこに税金が入るし原材料費も上がる関係で、製造業だったら収入が倍以上求められる)、つまりそれは家計の支出に直撃するわけで、国内で経済を回そうとすれば絶対に給与増を上回る支出増に直結しかねなかった訳で。
そこを国内に原材料を求めなかった場合に発生するのが「下請け・孫請けにお金が廻らない」。
そこで財務諸表だけでなんとかしようとしていたら、絶対に大型設備投資に借り入れなんかしない。短期でなんとかしようとするから借入金利が下がろうが借りようとしない。
そういう観点で言うとアベノミクスは明らかに「八十年代バブル直前期の経済政策」で、消費動向が「ITバブル後の経済環境」。
八十年代は韓国、台湾に下請けの下請けが出来たものの、いまそこいらは賃金が上がってしまったのでミレニアムトレンドの中国へ。ところが中国はパクリに繋がる上(ついでにいうとモラルがあまり高くない)世界中が有利なところに工場を作ってしまったのでもう安いわけではない。
東南アジアが輸送費用の限界点だがそこいらも経済成長しちゃったのでコストがかかりすぎる。
つまりね。「日本で原価かけたものを海外で売りさばく」という視点で行くと、日本は国際競争力がない経済構成になっているのよ。
その中でこの経済政策をやっても、いくら黒田バズーカぶっぱなしても、そりゃ消費構造が見合ってないからかみあわないさ。
さらに柔軟性のなさが問題なのだけれど(これは安倍政権全般に言えるが)、経済評論家はそこを指摘しないよね。
もし柔軟に対応していたら、それこそ消費税8%自体しなかった筈で(8%が失敗なのは、橋本政権時の増税で経済が冷え込んだ事を見れば想像出来た筈なのだけれど)、いやさ中国の景気減速がこんなに激しい状況で「リーマンショック程度のダメージが無い限りは」とか言っている時点で硬直化している訳ですよ。
もともと無理がある政策を成功失敗で語る必要は無い。
ってか、根本から言うと大学の数減らして大学の定員減らして、高卒専門卒で社会に放り出す構造にしたら、消費傾向変わらないかい? そのうえで都道府県の数減らして(だいたい28くらいにするのさ)地方税の自由化して本店を地方に呼び込む方が経済的によくないかい? いまの空港施策見直してトランジット出来る国際空港増やして(この場合羽田成田関西以外を強化するという意味)、かつ新幹線を空港に横付けししまう施策組んだ方がいいんでないかい?
それこそ田中角栄ほどじゃないけど列島改造は必要だ。いつまでも七十年代に策定された計画にすがってないで、抜本的な見直し(ってか本来平成の大合併は都道府県まで踏み込むべきだった)をした上で、本当の意味での国民の意識変をさせなくちゃいけないんじゃないかい。
成功失敗の前に、批判する側にその資質がないという事も、もっと問題としてあげとかないと駄目なんじゃないかな。この後何をやるにしても、結果根本が間違っていたら何も変わらないから。