これはX1 Ariaの第6節、名古屋対明治安田の試合について、某所のコメントで「遠征試合なんだから名古屋で開催すりゃいいのに」という意見が出たことについての雑感。
個人的には「心情的には同意。でも冷静に判断したら無理筋すぎる」というえのが結論。
①有料試合であることに伴うリスクヘッジ。
つまり現金出納が発生する関係上、出納管理者を複数名派遣する必要がある。さらに締めた現金を管理する(口座に入金するか事務所金庫に保管するか)必要がある訳で、地方開催の最大のネックですわね。チケットたげではなく物販もあるからさ。
そうなると直接金庫管理が出来ない地方開催はリスクが高いのよ。その為のリスク管理どうすんのさ。
②運営スタッフ配置のリスクヘッジ
地方開催だと協会がスタッフを派遣することになる訳で、予備要員の手配などに非常に困難が伴う(当日審判が風邪で倒れたとしても、緊急手配出来ない)。また、会場設営スタッフ等の手配にも「アメフトの設営を理解している人、かつ視野怪人協会の運用を理解している人」を現地で調達しなくてはならない。その為の主管地区からの派遣費用が上乗せされる。
さらにネット配信のための施設的・技術的な問題もクリアしないといけない訳でしょ、今年から。
※例えば川崎開催の場合、イベント運営会社「横浜シミズ」に委託している。横浜スタジアムや東京ドームはスタジアム側の手配(確か施設利用料に上乗せされる)。また、関東学生と同日開催の場合は関東学生とは別に手配している。結構面倒くさい話なのだ。
ちなみに審判は西日本支部は「社会人協会審判部」で賄っている。東日本は関東学生審判部の協力を得ている。また、関東学生審判部は新盤の公平性を保つ為上位リーグ出身者は下位リーグを、下位リーグの審判が上位リーグを担当する(出身校をえこひいきしない為)。地方リーグから審判を手配する場合、これと同じ措置が必要になるのでとっても面倒。
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③開催に関するリスクヘッジ
ようするに主催って事は全てのコスト-チケット印刷代からポスター掲示の許可等、会場使用料-どころか「気象条件による中止の代替措置」等のコストに対するリスクヘッジもしなきゃならない。
ましてや「学生との日程バッティング」リスクも考慮しなくちゃいけない。
故障者が出たときの緊急搬送に対する協力関係だって構築し続けなくちゃいけない。
そこに対して、下部リーグまで含めて地域でしっかり上層部にアピールできているか、という話になるんですよ。
そもそも今年のように「台風直撃」の後始末どうするつもりなのさ。大変なんだよ。
解決策は……
他の競技団体見ていると、地方開催は主管が都道府県協会なんだよね。チケットの販売等も含めてリスクを地方が背負える(かつそこできちんと反戦のやりとりも行える)構造が出来ているのね。
これは「競技団体による水平展開」と「地域協会による垂直統合」が出来ているから可能な話な訳ですよ。
ところがアメフトは成立過程がボトムアップ型(三々五々出来た団体が連絡会を結成している。トップダウンによる垂直統合が出来ない。特にこれは関西地区が垂直統合を嫌っている為)なので、関西とそれ以外で垂直統合に関する思考が異なっている為、これを崩すのはほぼ不可能。
※ぶっちゃけラグビーだってセントラル開催で開催競技場が数カ所に限定されているのだから、不合理とまで言えなくなる。これはバレーボールや女子バスケ、アイスホッケーでも同じ。競技普及のための地方遠征は勧進元が地方協会だ。
従って地方協会が垂直統合による運営でオフシーズンの興行で実績を積み重ねないと地方開催の増大は見込めない。そういう働きかけを該当地域の理事が「事業計画」としてしっかり出せるかどうかが鍵。
ただ、まあ過去の経緯からしてそこまでしっかりした事業計画出してるのはオービックくらいだからね。他のチームにそんな能力はあるとは思えない(あるならもっと話が進んでいると思う)。
もっとも問題なのは、春のオープン戦で興行的な試合を社会人は規制している所だ(学生対社会人の試合が神戸ボウルしかない。単なる練習試合やスクリメージ戦は行える)。これは昔あるチームがブッキングミスで、大学とのオープン戦の翌日に春のトーナメントが当たってしまった事に起因する。つまり社会人の春日程が発表されるまで対戦カードが組めないこと、興行して行うとキャンセル出来なくなるので金銭的な問題を避ける為に制限をしていることなどが影響している。
まずはこの「春興行」の再開が必要なのではないかと思うのだが。そういう段階を踏んでいく必要があると思う訳で。
※春興行で「ルール解説」とか「地元で強豪チームを招いての試合」とか普及活動に繋がる事が出来る筈なのよ。そっちで努力する事も大切だと思うんだけど、そこに対してたいしたコミットもせず「上がしてくれない」ばっかりだもん。誰も同意してくれないさ。関係者の妄言にしかなってない。