まず以下に展開される発言は
「ライスボウルは現行のままであるべきだ」ではなく
「今回の決定とそれを歓迎する思考プロセスがクソである」
ということを言いたいのであって、結論が「社会人対学生でなくなる」であってもその本質が「天と地ほど違う」事を理解してお読み戴きたい。
今回の議論はつまり
- ライスボウルとは1月3日に開催される日本協会主催のボウルゲームという「主催者がチームを招待して行うイベント」である。
- このボウルゲームは、たまたま国内成年男子のトップカテゴリであった「学生」と「社会人」の「それぞれが認定する年間王者」を招待するエクストラゲーム(平たく言って「おまけ」扱い)である。
- 年間王者同士の戦いだから「日本選手権」だよね、と安易に冠を付けた。
- この結果、社会人は「トーナメントの最終通達点」としてライスボウルを設定しているけれど、特に関西学生は「甲子園が最終目標で、ライスは社会人に付き合ったオマケみたいなもの。無くても関係ない」というスタンスをテコでも変えなかった。
- 学生側では未だに「日本選手権」という形式に統一して望めていない(関西とその他で温度差が鮮明である)。同様に「普及」に対する考え方も(関西とそれ以外で顕著に)違いがあり統一感がない。
という実に不幸な前提のまま2.だけをいじろうとしているからなんとも据わりが悪い話になっている。この場合3.の明確な再定義が発生しない限りいつまでたっても国内に於けるアメフトの認知は広がらないだろうし、逆に衰退する方向に流れるだろうと思う。
従って単純に社会人の決勝を1月3日に「ライスボウル」としてやることは出来ない(単純に社会人の決勝は社会人協会の主催試合だからである。ラグビーの場合は大原則として「社学対戦」を実施する中で「日本代表強化の為のスケジュール調整の都合上」シーズンの前後スライドが起き、双方同意の上で「日本選手権」への学生の出場を中断している。よって新リーグ移行後はどうなるかは不明だが、トップリーグと日本選手権(=社会人プレーオフ)は主催が異なるし試合数がアメフトとは違い過ぎる)。
もしラグビーと同じようにするなら
- X1リーグは12~16チームで、シーズン8試合/チーム以上の対戦が必要である。(試合間隔が今の隔週を維持出来ると思うなという話になる)
- 社会人王座はリーグ戦1位である。
- リーグ戦終了後に上位半数によるトーナメントを「日本選手権」として日本協会主催・社会人協会主管で実施する。
- オープン参加枠は設けるが、日本協会参加のリーグ戦運営競技団体が推挙したチームによる予選トーナメント2試合以上を勝ち抜いたチーム最大2チームのみに与えられる(ちなみに推挙条件は「当該リーグ優勝チーム」に限定し、予選本戦期間内に他の試合への出場は認めない)。
- 日本選手権の決勝を「ライスボウル」に招待する。
という運営で、学生側の制限である「期末試験期間」には一切配慮しないし、また学齢にも配慮しない(通常期末考査終了で学齢は1上がる。つまり4回生は5回生となり原則出場できなくなる。春の甲子園などに準拠)前提で活動することになる。
重要なのは「このスケジュールをこなすには、予備日程を入れても3週2試合以上の(日本においては)ハイペース」で実施する事と、「雪が降ろうが超低温だろうがアメリカNFLプレーオフなみに過酷な環境でも」試合する事になる。
また、この為にはチームスポンサーが資金潤沢(ぶっちゃけJ1資金下位と同等の年間予算をキープ出来る事-だいたい3~5億/年くらい-)である事と、社会人学生供に試合出場登録メンバーを国際試合と同数(42~45、スタッフもコーチ+フィールドスタッフ20以内うち医療・トレーナー専門で3名以上必須)にしないといけない、等現行より不利になる事を受け入れないといけないのである。
だが、残念な事にこんな踏み込んだ改革は出来ないだろう。それは時間が少なすぎるからだ。そんな結論が出るなら、もっと時間がかかっていて不思議はないし、そういうリークだって見えている筈だ。
でもそれは期待しない。出来る筈がないからだ。
なので、この議論がもっと向上心のあるもので進んで欲しかった事を強く念じてこの項を閉じたいと思う。