実はこれ、二月頃にFBで触れたところ、フルボッコにされてしまった話なんですわ。
元は関学の奥野君が就職を決める際に、監督から「いまの社会人は外国人QBばかりだから、それに勝つために仕事と向き合いながら競技生活を送るのは無理があるから、仕事一本に専念した方がいい」(内容は不正確ですが)というアドバイスを受けた、という話から始まっています。同様に日大の林君も「競技継続は前提としていない就職(就職先は社会人チームを持っているとか)」という事だった訳です。
現状、確かにX1Superでは外国人QBがスタートを取っているチームが八チーム中5チーム。のこりのうちIBMは負傷交代で実際にはケビン・クラフトが先発していた訳だし、東京ガスは契約した外国人QBがコロナの影響で来日出来なかったという事が響いている訳ですから、実態としては8チーム中7チームが外国人QBを擁している訳です。X1Ariaでもアサヒビールとアサヒ飲料が外国人QBのスタートです。
しかも、その殆どが「契約が切れた外国人QBの後釜は外国人QBを探してくる」パターンになっています。平たく言うと「自前で日本人を成長させるより安直に勝利に結びつく」と編成部が考えているという事に繋がります。
前段で触れたように、大卒選手の社会人での選手寿命はせいぜい5年、長くて8年です。恐らく社会人になって3年目からスタートに定着して三年間はチームの攻撃の中核になる、という計算があって初めてプレーする気になるでしょうけど、そうでなかったら「相当逡巡する」筈なんですよ。
そういうとし「じゃあ富士通の高木とかIBMの政本はどうなるんだ」って話になるんです。多くの人が彼らを論拠にしました。
でもね。高木が社会人1年目(オービック所属)の時は、入部時にはQBは日本人だけ(ただし高木は三番手)。しかも菅原があと数年すれば後進に道を譲る価格率も高かった訳ですよ。
ところが翌年には外国人QBの参加を決めている訳で、同じ外国人でも得るものが多く、二番手のQBが怪我がちだった富士通に移籍するという選択肢になった訳です。※もし先発を希望するなら東京ガスでもライズでも良かった訳ですから。
政本にしてもクラフトからの禅譲は既定路線だった訳です(もしチーム以前のように独立採算に移行しなかったら、後継外国人QBという話も出た可能性がある)。
つまり、彼らは結構な「例外」であると思う訳です。恐らく現在の外国人QBハッピーな環境で進路を決めるときには、今ほど強い意志で社会人を選択したかというと、微妙だと思う訳です。
実際問題として、現時点で学生トップリーグのQBは、Xリーグにほぼ参加して来ていません。つまり「アメフトをするための就職」はほぼ選択肢外になっているという事です。
※ただし数年したから復帰するケースがないわけでもないが、それを期待するのは無理がある。
つまり、この問題は「政本がー」「高木がー」以前に、「チームも選手もそこに力点を置いて継続して活動できる環境を模索していかない限り、日本代表として国際試合に挑む事が出来なくなる」危険を孕んでいるという事なんです。
「日本代表なんて飾りですよ。偉い人はそこが解ってないんですよ」って言い張るなら別ですが、この国のスポーツナショナリズムの取り巻く環境は「個別のチーム」ではなく「ナショナルチーム」にステータスがある訳で、世間への認知を深めるためには絶対にナショナルチームを念頭に置かねばならないのです。