今回非破壊自炊したのは、この本です。
今は無き社会思想社・現代教養文庫刊
日影丈吉傑作選Ⅲ 『内部の真実』
です。
この作品は私のミステリ感を全く180度変えてしまった作品でもあるので、是非とも手元に置いて読みたい本でもあるのです。
そもそも日影丈吉に触れたのが『夕潮』の刊行時点(1990年)。読んでみてなんとも言えぬ感覚にとらわれて、売っている物で入手可能ならと思ってLIBRO池袋(当時地下2階に移ったばかりの頃ですな)に駆け込んで、本棚にあったのがこれと同じく傑作選Ⅱ『猫の泉』だった訳です。
なお傑作選Ⅰ『かむなぎうた』は今に至るまで入手していません。結構キキメなんですよね、これ。
当時就職活動してて翌日面接があると言うのに、布団に入って読み始めて止まらなくなり、最後の大手大尉と津路軍医の会話で「え、えええええええっっっっ」と絶叫して飛び上がり、布団の上に正座して「ま、参りました~っ」と土下座してしまった記憶があります。
ってのと、あとこのカバーアート。建石修司のこのカバーアートが、本文に出てくるヒロイン(正しく言うと主人公・小高軍曹の憧憬する少女のイメージを愚けんかしたような存在である女性)のイメージと結びついて、しばらく脳裏から離れなかったという思い出があります。
やっぱり建石修司はいいよなあ、うん。
※この画像は、デジカメで撮影した物に多少手を加えてありますが、絵の部分は補正していません。
元版は1959年、講談社「書き下ろし長篇推理小説シリーズ」第3巻として刊行。その後雑誌「別冊 幻影城」収録時に数カ所の改訂を行い(が、この時誤字脱字が多かった模様)、それをこの文庫は底本としています。
ちなみに現在一番新しい国書刊行会『日影丈吉全集』では、誤字脱字の多さを理由に初版に準拠している為、私にとどめを刺した言葉が採録されていません(巻末に異同対照表が掲載されている)。
ですので、今回は誤植の修正と、改訂結果によるストーリーのバランスを考慮して、くぼたさん的完全版を作ろうかなと思った訳です。
……いや、ここに作品への思いをぶつけても意味ないじゃん。
さて、前回挙げた機材をここでセットします。
ドームスタジオの中で、こんな感じに三脚+雲台+延長用の機材+デジカメを設置します。
これをやるから、一眼レフみたいな重い奴だと簡単に倒れてしまうのである。実際このように、三脚を後側に倒し加減でセットする為、普通に雲台等を追加いなかったら、三脚の足が入ってしまう。そうすると(初期の撮影で苦労したが)全体が入らないという問題に悩まされるのです。
コピースタンドだと下手するとドームスタジオLでも無理っぽかったので。つらいですなあ。
こうなっちゃうともうファインダーはのぞけませんから、SZ-5のようにリモートで撮影できる状態が一番良いとなります。
そこに本をセットします。
ちなみに、向かって左上からスタンドで光を当ててます。これで陰が殆ど出ませんので、紙焼けした本ではこれが後からじわじわ効いてきます。
なお、逆にこの程度では光源が弱いので、必ず露出の設定を+1以上にしましょう。実際には+1で十分行けます。
これで、見開きごとに撮影していきます。
ちなみに、左右の高さがずれるときは、読書クリップで上を、指で下を押さえました。
できあがりはこんなかんじです。
※この時点ではドームスタジオがありませんでした。
まだ焼けが少ないのですが、これでも「す」「ま」「し」などはちゃんと変換されませんでした。
この仕上がりを一枚一枚チェックし、指が妙にかかっているページや、クリップの陰が邪魔しているページを撮影し直し、変換順を間違えないようにファイル名をリネーム(今回、本文と表紙だけで100枚以上撮影していますので、順番が狂わないようにファイル名ソートが簡単な状態にしておくのが吉)して、という一連の作業で撮影を終えます。
あ、あまり大きく綴じ口を広げなくてもいいみたいです。